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おもしろ・ネタ

アタリ『E.T.』、ゴミ捨て場から発掘されeBayで総額1,700万円に

発掘されたアタリのゲームカートリッジ(『E.T.』など計881本)

「史上最低のゲーム」と名指しされ、売れ残りが砂漠に埋められた——ゲーム好きのあいだで30年以上ささやかれてきた与太話である。ところが2014年、その埋立地を実際に掘り返したら、本当に出てきた。土まみれのアタリ『E.T.』は、今度はeBayで「お宝」として競り落とされていく。

噂を、ショベルカーで掘り返す

2014年4月26日、ニューメキシコ州アラモゴード。300エーカーに広がるゴミ処分場の一角に、ショベルカーとブルドーザーが入った。集まった見物人はおよそ200人。彼らが見守る先から掘り起こされたのは、30年以上前に埋められたアタリのゲームカートリッジだった。

掘削を率いたのは、地元で廃棄物処理会社を営んでいたジョー・レワンドウスキー。1983年の埋め立てを記憶していた数少ない人物で、ほぼ砂漠と化した処分場のどこに「在庫」が眠っているのかを、地道な調査で突き止めた。市が与えた猶予はわずか2日、掘れる範囲は4エーカーだけ。約9メートル分の瓦礫とコンクリートの下から、チームは1,300本あまりのカートリッジを引き上げた。うち1割ほどが『E.T.』。残りはアステロイドやセンチピード、ミサイルコマンドなど、全部で60種類を超えた。長らく「あった/なかった」で揉めてきた話が、土の中から物的証拠ごと出てきた瞬間だった。

なぜ「最低のゲーム」は砂漠に消えたのか

話は1982年にさかのぼる。アタリは、スティーヴン・スピルバーグの大ヒット映画にあやかろうと、『E.T.』のゲーム化を急いだ。開発に与えられた時間は、わずか34日。担当したハワード・スコット・ウォーショウは突貫で仕上げたが、何度も穴に落ちては這い上がるだけの単調な操作はプレイヤーを苛立たせ、やがてこのソフトは「史上最悪のゲーム」の代名詞となっていく。そして翌1983年、北米のゲーム市場を直撃した大崩壊——日本でいう「アタリショック」——の戦犯として語られるようになった。

抱えきれない在庫を持て余したアタリは、テキサス州エルパソの工場を畳む際、売れ残ったカートリッジを処分する必要に迫られた。選ばれた先が、80マイルほど北にあるアラモゴードの埋立地だった。元アタリ社員の証言によれば、埋められたゲームは72万8千本。『E.T.』に限らず、かつてのヒット作まで一緒くたに葬られていたという。

奇妙なのは、この埋め立てが最初から隠し事ですらなかったことだ。1983年9月、ニューヨーク・タイムズは14台分のトラックがゲームと機材を運び込んだと報じている。ところが年月とともに細部があいまいになり、アタリ自身が長らく肯定も否定もしないまま——報道によれば2014年の発掘時ですら、広報は「心当たりがない」という調子だった——事実はいつしか伝説の霧に包まれていった。

ゴミの臭いが、本物の証明になる

発掘されたカートリッジのうち881本が、地元のトゥラロサ流域歴史協会の手でeBayに並んだのは、2014年11月から翌2015年8月にかけてのことだ。44日に分けて少しずつ売りに出された一本一本には、ただの中古ソフトにはない「箔」がついていた。

ひとつは、アラモゴード市が発行した金属製の所有権タグと通し番号。もうひとつは、ゲームを生んだ当人ウォーショウと、スージー・ガレア市長が署名した本物保証書。そして極めつけが、角に詰まった埋立地の砂と、隠しようのないゴミの臭気である。この「におい」までもが、墓から掘り出された正真正銘の一本だという証明になった。

競りは熱を帯びた。最も高く落札された箱入りの『E.T.』は1本1,500ドルを超え、日本円にしておよそ25万円。881本すべてを合わせた総額は10万7,930ドル15セント、現在のレート(1ドル=160円換算)でおよそ1,730万円に達した。一方、人気のないタイトルには入札がひとつしか付かず、40ドルにも届かないものもあった。ゴミ捨て場から出てきた「史上最低のゲーム」が、同じ穴から出たどのソフトよりも高く売れたのである。

博物館へ、そして一人の開発者の名誉

売上の使い道は、思いのほか地に足がついていた。市の取り分はおよそ6万5千ドル、歴史協会には1万6千ドル超、そして2万6千ドルあまりは世界中の落札者へ送る送料に消えた。買い手は全米45州と14か国に散らばっていたという。

このほか23本は、ワシントンのスミソニアンやフランクフルトのドイツ映画博物館などに収まり、ガラスケースの中で「最低のゲーム」から「歴史的遺物」へと肩書きを変えた。残る297本は、いまも保管されたまま静かに出番を待っている。

この騒動で一番救われたのは、作者のウォーショウ本人だったかもしれない。34日で叩き上げた一本のせいで、彼は31年ものあいだ「アタリ凋落の象徴」のように扱われてきた。それが、よみがえった自作に人々が群がるのを目にして、長く抱えてきた重荷が少しだけ軽くなったという。

墓に入れたはずの失敗作が、掘り返された途端に宝物になる。世界一つまらないと言われたゲームにしては、これ以上ないほど出来すぎたオチである。

出典 SOURCES
  1. [1] Engadget「Sale of buried Atari cartridges nets over $107,000」(2015年8月) — www.engadget.com
  2. [2] Rolling Stone「Unearthed E.T. Atari Games Sell for $108,000 at Auction」 — www.rollingstone.com
  3. [3] the Digital Archaeological Record(tDAR)Atari eBay Auctions データセット — core.tdar.org
  4. [4] New Mexico Magazine「The Truth Behind Atari's Landfill Burial」(2025年) — www.newmexicomagazine.org